5日目 酒田(山形県)~ 八戸(青森県)
2025年4月9日(水)
日本縦断は目的地までの道中を楽しむことができるかどうかがポイントです。疲れが残っていますが、自分が好きでやっていることなので、楽しまないと損。と、言い聞かせて今日もスタート。

「月のホテル」の朝食バイキングで元気をもらいました。地元庄内産のごはんはとてもおいしかった。
酒田 7:56 ⇒ 秋田 9:41
最初の列車は羽越線の701系秋田行き。東北地方の在来線でよく使われている車両です。ロングシートのイメージが強いですが、乗車した車両はボックス席もあるタイプでした。こっちの方が車窓が見れるので、ボックス席やクロスシートの方につい座ってしまいます。


進行右手に鳥海山が見えてくるはずでしたが、厚い雲に隠れてしまってました。山裾の稜線が山体の大きさを物語ってます。鳥海山の大きさと均整の取れた形が存在感抜群で印象的だっただけに、残念です。

庄内平野を離れると、再び海岸線を列車は走ります。羽越線は海沿いを走ってくれる区間が多いですね。いつの間にか秋田県に入っていました。


羽越線に乗っていて思うのは、発電用の風車が多く見かけることです。他路線よりも線路に近いところに立っている確率が高いような気がします。
この日は天気が回復している最中だったからか、よく回っていました。
羽越線の車窓のメインは海景色ですが、たまに山側も見ると面白いです。先ほどの鳥海山ともう一つ注目したいのは、象潟です。象潟駅を出発してしばらくすると、進行右手に田んぼの中にいくつもの小さい丘が現れるのですが、かつては島でした。江戸時代の中頃までは景勝地として有名で、「東の松島、西の象潟」と並び称されていました。1804年の巨大地震で入り江だったところが隆起し陸地化されて、現在の風景になったそう。
列車に乗ってみると数分で通り過ぎてしまいますが、見逃さないでいただきたい光景です。
秋田 9:44 ⇒ 大館 11:28
酒田から1時間45分で秋田駅に到着。到着ホームの向かい側には続いて乗る列車が待っていました。羽越線から奥羽線に乗り換えです。奥羽線は福島駅から山形県の内陸側を通って、秋田、青森を結ぶ長大な幹線。秋田駅からは日本海側を通りますが、奥羽線から海を眺められるところは無く、田園地帯を通ります。車両は再び701系。今回はオールロングシートでした。


ロングシートは景色と座っている人が重なるので、基本的に景色を見るのに気を遣ってしまいがちです。いつもだと毛嫌いしてしまうのですが、空いている時間帯では関係ありませんでした。おかげで701系の窓が大きくて眺めがいいことに気づけました。
窓から見えるのは、果てしなくつづく田園地帯。八郎潟の干拓地付近の様子です。かつてここには日本第2位の面積を誇る湖が広がっていましたが、昭和の大規模な干拓事業により、ほとんどが埋め立てられました。今では秋田県内有数の米どころです。湖があったらどんな景色だったのか見て見たかったですね。
東能代駅では五能線に乗り換える方が降りていき、車内はガラガラに。五能線は日本海沿岸を回って青森県に向かう日本屈指の絶景ローカル線。平日ですが、観光での利用と思われる方が多くいらっしゃいました。私は奥羽線に引き続き乗車。奥羽線はこの先さらに内陸部に入っていき、この列車の終点である大館駅で途中下車しました。


お昼ご飯を食べることにします。駅から5分歩いて「とりびあん」という飲食店に入店。列車の中で駅から近くて名物が食べられるところを探して決めてました。喫茶店メニューの中に、郷土料理もラインナップにありますよ、ってタイプのお店でした。比内地鶏の親子丼とみそづけたんぽを注文しました。

みそつけたんぽは、コメを焼いたときの香ばしい香りと味噌の香りが相まって、食欲をそそります。きりたんぽはかなり粘りが強くて食べ応えがあります。素朴な味がいいですね。親子丼は、弾力のある鶏肉とふわっと玉子の対照的な食感が楽しく、だしの味付けもちょうどよい塩梅でおいしかったです。お店の雰囲気も居心地よく、初見の観光客も優しく迎えてくれる素敵なお店でした。


駅前に戻って、観光します。大館は秋田犬「忠犬ハチ公」のふるさとで、秋田犬の里という観光施設が駅の真ん前にあります。ハチ公像の見つめる先は大館駅になっています。次の電車までの時間で見学しました。



実際に秋田犬が見学できるコーナーもあります。この時見ることができたのは3匹でした。



係りの方と一緒に遊ぶ姿や寝ている姿などをガラス越しに見学できます。自由に見学できるので、気楽に過ごせるし、いつまででも眺めていられます。嫌なことがあったとき、メンタル的にまいったとき、ぜひ訪れてみてください。
屋外には鉄道好きにはたまらないスポットがあります。かつて渋谷駅前にて保存展示してあった東急電鉄の5000系車両が、ここに移設され展示しています。ハチ公のつながりがここにもありました。
秋田を堪能できるスポットが駅前に充実していて、日本縦断旅にはうってつけの場所。天気も回復して、心地よい風が吹き抜ける芝生の広場のベンチで時間まで休憩しました。


大館 13:20 ⇒ 大鰐温泉 14:29


この旅では長めの2時間滞在を終え、奥羽線で北上します。大館を出るとすぐ峠越えに入ります。矢立峠は青森県との県境で、きつい勾配でSL時代は鉄道の難所でしたが、701系電車は軽快な走りで超えていきます。峠のど真ん中にある陣場駅では、辺り一面に雪がまだ残っていました。

青森県に入って勾配を下ってゆくと、大鰐温泉。途中下車し温泉に入ることにします。駅前にはワニがⅤサインしている像があります。
ここには10年ほど前に訪れたことがあり、駅からすぐに温泉施設があるのですが、とても良い印象を受けていたので、再訪しました。

大鰐町の「鰐come」という複合施設の中に日帰り温泉があります。温泉のほかに食事処や産直センターがあるので、特産物も購入可能です。
ここの良いところは、設備がキレイなところと露天風呂です。出来てから結構時間がたっていると思いますが、古さを感じませんし、脱衣所や洗い場も十分広くスペースがあるので、快適に利用ができるかと思います。露天風呂も広く作られ開放感があり、たまに列車の走行音が聞こえてきます。青空の下、湯船につかりボーっとするのがおすすめです。施設の方も感じが良く、利用者もマナーを守る方が多い印象で、とても利用しやすいです。
1時間、しっかり大鰐温泉を満喫し駅に戻りました。この駅はJRの駅舎の横に弘南鉄道の駅舎があるので、見てみることに。

弘南鉄道は弘前市周辺の街を結ぶ地方私鉄で、大鰐駅から中央弘前駅までの大鰐線と弘前駅から黒石駅までの弘南線があります。大鰐線は利用減少にともない2027年度末に運行休止が発表されました。来訪する機会が今後無いかもしれないので、写真による記録をしました。



駅の構内はJR側と共同になっているので、JRのホームに入ってこ線橋を渡れば弘南鉄道のホームに行くことができます。それなのに駅舎は別々にあるんです。
事実上の廃止と言われているので、これで見納めになってしまうのはさみしい限りです。
大鰐温泉 15:59 ⇒ 弘前 16:11
弘前 16:15 ⇒ 青森 17:04

大鰐温泉からも701系で奥羽線を北上します。弘前で乗り換え、西日射す車窓を観ながら終点の青森駅を目指していきます。影のように見えるのは弘前のシンボル岩木山。


新幹線が止まる新青森駅を過ぎると線路が左に急カーブを描き、行き止まり式になっているホームに停車。ついに青森駅までやってきました。かつてはこの駅から出ていた青函連絡船に乗り換えて北海道を目指していました。行き止まり式になっているのは、船との連絡を図っていた時の名残です。
今回北の大地へと行く手段は”船”に決めています。
しかし、ここから乗るわけではありません。そこまで移動します。
青森 17:23 ⇒ 八戸 18:57(青い森鉄道)
八戸 19:26 ⇒ 本八戸 19:34
青森からは青い森鉄道に乗車します。JRではないので、通常は切符を購入する必要が出てきますが、今回乗る区間の場合は特例により、青春18きっぷのみで乗ることができます。
青い森鉄道はJRの東北本線だった区間の内青森県内の区間を引き継いだ第三セクターの鉄道会社です。東北新幹線開通のため、並行在来線がJRから経営分離される際に誕生しました。新幹線と並行のJR東北本線がその対象になりましたが、並行とみなされない八戸線などはJRのまま運営されています。八戸線は接続しているJR線が東北本線だけだったので、青春18きっぷを使用するには必ず別会社の路線を乗る必要が出てくるため、救済措置としてJR相互を乗り継ぐ場合に限り、青春18きっぷのみで青森~八戸間を通過してもよいことになっています。

話が後になっていましたが、今回乗る船は八戸から出ている「シルバーフェリー」です。そのため青い森鉄道に乗車することになりました。
帰宅ラッシュで車内は満員。混雑が収まった浅虫温泉駅から車窓を観れました。ちょうど陸奥湾に夕日が落ちていきます。
すっかり夜になってしばらく闇の中を進み、八戸駅に19時前に到着。ちなみに乗った車両は元701系でした。JRから譲渡されたものです。今日乗ったすべての電車が701系でした。

しばらく待ち時間があるので、一旦改札を出てみます。果たして出られるのでしょうか?
青春18きっぷを自動改札に通すと…
切符が出てきました!降りられるようです。
青森駅と八戸駅ならば、途中下車が可能のようです。が、出来るかどうかやってみるまで不安でした。詳しい切符のルールはネットで調べられるので、みなさんも乗るときはご確認お願い致します。


八戸線に乗り換え、本八戸へ。八戸駅から市の中心部までは結構離れていて、本八戸駅が最も中心街に近い駅です。八戸線は非電化路線で、気動車はキハE120系500番台の2両編成。この列車も満員でした。
この駅で降りたのは、おいしいものをたべるため。さあ、ご飯の時間です。

あらかじめ探しておいたサバ料理を食べられる店に入店。繁華街のビルの1階にあり、辺りは呑兵衛のオアシスといった雰囲気。

名物と紹介されていた「銀さばトロ漬け丼」を注文。大と中がありましたが、お店の人にしっかり食べられる方には大をおすすめしますとのことなので、大を注文しました。居酒屋だったので、中だと量が少ないらしいです。〆に食べる用なのかも。
味はとにかく美味い!これしか言葉が出てきませんでした。語彙力が欲しい。サバのうまみがすごいのと、酢飯の塩梅が抜群でご飯が進みます。
これはすごくおいしいので、また食べに来たい一品でした。ごちそうさまでした。
八戸中心街ターミナル三日町 20:45 ⇒ 八戸港 21:10 (南部バス 交通系IC可)
八戸港 22:00 ⇒ 苫小牧西港 6:00

「サバの駅」から近いバス停から八戸港に向かいます。いよいよ今日の「宿」のシルバーフェリーに乗船しようと思います。
バスの運転手さんに、「フェリーに乗られますか?」的なことを聞かれました。おそらく乗り間違えて無いかを尋ねられたのでしょう。八戸港は市街地からちょっと離れたところにあるので、親切にも確認をとられたんだと思います。乗っていた乗客は三日町のバス停で皆降りていき、僕だけになりました。不安を感じましたが、本八戸駅からも一人乗ってこられたので少しだけ安心出来ました。その方も同じ質問をされていました。

バスはどんどん市街地から外れていき、倉庫や工場が多い地帯を進み、八戸港のフェリーターミナルに到着。闇の中に白い船体が街路灯の光で浮かび上がっています。
予約を事前にしていたので、自動チェックイン機で手続きし、すぐに乗船可能に。売店で飲み物を購入し、いざ乗船へ。


乗り込んだフロアは車両を積み込むエリアで、一つ上の階へエスカレーターで上がります。船の中にエスカレーターがあるのが驚きです。まずはお部屋に直行します。2等寝台Aを予約してました。寝るだけなので、これで十分でしょう。設備もきれいで、古さは特に感じません。2段ベットですが相席になることはありません。私は下のベットを使うことにしました。


身支度を終えて、船内を探索します。先日乗船したさんふらわぁよりも派手さはありませんが、必要なものがコンパクトにある印象です。大浴場とオートレストランという自動販売機群が完備されています。私はイートインスペースで買っていた缶酎ハイとピーナッツで呑みました。お風呂は既に済ませているので今回は利用しませんでした。
出航するとしばらく揺れを感じました。酔いが回っているのではなく、船の方です。瀬戸内海と比べると体で揺れを感じる回数は多かったですが、気分が悪くなるほどではなかったのですが、念のため酔い止め薬を飲んでおきました。
明日も早いのでここで終わります。
~5日目に続く~