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  • 日本最西端の駅から最東端の駅へ行ってみる (その5)

    日本最西端の駅から最東端の駅へ行ってみる (その5)

    5日目 酒田(山形県)~ 八戸(青森県)

    2025年4月9日(水)

    日本縦断は目的地までの道中を楽しむことができるかどうかがポイントです。疲れが残っていますが、自分が好きでやっていることなので、楽しまないと損。と、言い聞かせて今日もスタート。

    月のホテル 朝食

    「月のホテル」の朝食バイキングで元気をもらいました。地元庄内産のごはんはとてもおいしかった。


    酒田 7:56 ⇒ 秋田 9:41

    最初の列車は羽越線の701系秋田行き。東北地方の在来線でよく使われている車両です。ロングシートのイメージが強いですが、乗車した車両はボックス席もあるタイプでした。こっちの方が車窓が見れるので、ボックス席やクロスシートの方につい座ってしまいます。

    701系 車内
    鳥海山 見えず

    進行右手に鳥海山が見えてくるはずでしたが、厚い雲に隠れてしまってました。山裾の稜線が山体の大きさを物語ってます。鳥海山の大きさと均整の取れた形が存在感抜群で印象的だっただけに、残念です。

    羽越線 曇りの日本海

    庄内平野を離れると、再び海岸線を列車は走ります。羽越線は海沿いを走ってくれる区間が多いですね。いつの間にか秋田県に入っていました。

    風力発電の風車
    象潟の車窓

    羽越線に乗っていて思うのは、発電用の風車が多く見かけることです。他路線よりも線路に近いところに立っている確率が高いような気がします。
    この日は天気が回復している最中だったからか、よく回っていました。

    羽越線の車窓のメインは海景色ですが、たまに山側も見ると面白いです。先ほどの鳥海山ともう一つ注目したいのは、象潟です。象潟駅を出発してしばらくすると、進行右手に田んぼの中にいくつもの小さい丘が現れるのですが、かつては島でした。江戸時代の中頃までは景勝地として有名で、「東の松島、西の象潟」と並び称されていました。1804年の巨大地震で入り江だったところが隆起し陸地化されて、現在の風景になったそう。
    列車に乗ってみると数分で通り過ぎてしまいますが、見逃さないでいただきたい光景です。


    秋田 9:44 ⇒ 大館 11:28

    酒田から1時間45分で秋田駅に到着。到着ホームの向かい側には続いて乗る列車が待っていました。羽越線から奥羽線に乗り換えです。奥羽線は福島駅から山形県の内陸側を通って、秋田、青森を結ぶ長大な幹線。秋田駅からは日本海側を通りますが、奥羽線から海を眺められるところは無く、田園地帯を通ります。車両は再び701系。今回はオールロングシートでした。

    701系
    奥羽線 八郎潟付近

    ロングシートは景色と座っている人が重なるので、基本的に景色を見るのに気を遣ってしまいがちです。いつもだと毛嫌いしてしまうのですが、空いている時間帯では関係ありませんでした。おかげで701系の窓が大きくて眺めがいいことに気づけました。
    窓から見えるのは、果てしなくつづく田園地帯。八郎潟の干拓地付近の様子です。かつてここには日本第2位の面積を誇る湖が広がっていましたが、昭和の大規模な干拓事業により、ほとんどが埋め立てられました。今では秋田県内有数の米どころです。湖があったらどんな景色だったのか見て見たかったですね。

    東能代駅では五能線に乗り換える方が降りていき、車内はガラガラに。五能線は日本海沿岸を回って青森県に向かう日本屈指の絶景ローカル線。平日ですが、観光での利用と思われる方が多くいらっしゃいました。私は奥羽線に引き続き乗車。奥羽線はこの先さらに内陸部に入っていき、この列車の終点である大館駅で途中下車しました。


    大館駅 ホーム
    とりびあん

    お昼ご飯を食べることにします。駅から5分歩いて「とりびあん」という飲食店に入店。列車の中で駅から近くて名物が食べられるところを探して決めてました。喫茶店メニューの中に、郷土料理もラインナップにありますよ、ってタイプのお店でした。比内地鶏の親子丼とみそづけたんぽを注文しました。

    みそつけたんぽと比内地鶏の親子丼

    みそつけたんぽは、コメを焼いたときの香ばしい香りと味噌の香りが相まって、食欲をそそります。きりたんぽはかなり粘りが強くて食べ応えがあります。素朴な味がいいですね。親子丼は、弾力のある鶏肉とふわっと玉子の対照的な食感が楽しく、だしの味付けもちょうどよい塩梅でおいしかったです。お店の雰囲気も居心地よく、初見の観光客も優しく迎えてくれる素敵なお店でした。

    駅前に戻って、観光します。大館は秋田犬「忠犬ハチ公」のふるさとで、秋田犬の里という観光施設が駅の真ん前にあります。ハチ公像の見つめる先は大館駅になっています。次の電車までの時間で見学しました。

    実際に秋田犬が見学できるコーナーもあります。この時見ることができたのは3匹でした。

    係りの方と一緒に遊ぶ姿や寝ている姿などをガラス越しに見学できます。自由に見学できるので、気楽に過ごせるし、いつまででも眺めていられます。嫌なことがあったとき、メンタル的にまいったとき、ぜひ訪れてみてください。

    屋外には鉄道好きにはたまらないスポットがあります。かつて渋谷駅前にて保存展示してあった東急電鉄の5000系車両が、ここに移設され展示しています。ハチ公のつながりがここにもありました。
    秋田を堪能できるスポットが駅前に充実していて、日本縦断旅にはうってつけの場所。天気も回復して、心地よい風が吹き抜ける芝生の広場のベンチで時間まで休憩しました。

    元東急5000系 外観
    元東急5000系 内部

    大館  13:20 ⇒ 大鰐温泉 14:29

    この旅では長めの2時間滞在を終え、奥羽線で北上します。大館を出るとすぐ峠越えに入ります。矢立峠は青森県との県境で、きつい勾配でSL時代は鉄道の難所でしたが、701系電車は軽快な走りで超えていきます。峠のど真ん中にある陣場駅では、辺り一面に雪がまだ残っていました。

    陣場駅

    青森県に入って勾配を下ってゆくと、大鰐温泉。途中下車し温泉に入ることにします。駅前にはワニがⅤサインしている像があります。
    ここには10年ほど前に訪れたことがあり、駅からすぐに温泉施設があるのですが、とても良い印象を受けていたので、再訪しました。

    大鰐温泉 鰐come

    大鰐町の「鰐come」という複合施設の中に日帰り温泉があります。温泉のほかに食事処や産直センターがあるので、特産物も購入可能です。
    ここの良いところは、設備がキレイなところと露天風呂です。出来てから結構時間がたっていると思いますが、古さを感じませんし、脱衣所や洗い場も十分広くスペースがあるので、快適に利用ができるかと思います。露天風呂も広く作られ開放感があり、たまに列車の走行音が聞こえてきます。青空の下、湯船につかりボーっとするのがおすすめです。施設の方も感じが良く、利用者もマナーを守る方が多い印象で、とても利用しやすいです。

    1時間、しっかり大鰐温泉を満喫し駅に戻りました。この駅はJRの駅舎の横に弘南鉄道の駅舎があるので、見てみることに。

    大鰐温泉駅 1

    弘南鉄道は弘前市周辺の街を結ぶ地方私鉄で、大鰐駅から中央弘前駅までの大鰐線と弘前駅から黒石駅までの弘南線があります。大鰐線は利用減少にともない2027年度末に運行休止が発表されました。来訪する機会が今後無いかもしれないので、写真による記録をしました。

    駅の構内はJR側と共同になっているので、JRのホームに入ってこ線橋を渡れば弘南鉄道のホームに行くことができます。それなのに駅舎は別々にあるんです。
    事実上の廃止と言われているので、これで見納めになってしまうのはさみしい限りです。


    大鰐温泉 15:59 ⇒ 弘前 1611
    弘前   16:15 ⇒ 青森 17:04

    大鰐温泉駅 5

    大鰐温泉からも701系で奥羽線を北上します。弘前で乗り換え、西日射す車窓を観ながら終点の青森駅を目指していきます。影のように見えるのは弘前のシンボル岩木山。

    奥羽線 岩木山
    青森駅 駅名標

    新幹線が止まる新青森駅を過ぎると線路が左に急カーブを描き、行き止まり式になっているホームに停車。ついに青森駅までやってきました。かつてはこの駅から出ていた青函連絡船に乗り換えて北海道を目指していました。行き止まり式になっているのは、船との連絡を図っていた時の名残です。

    今回北の大地へと行く手段は”船”に決めています。
    しかし、ここから乗るわけではありません。そこまで移動します。


    青森 17:23 ⇒ 八戸  18:57(青い森鉄道)
    八戸 19:26 ⇒ 本八戸 19:34

    青森からは青い森鉄道に乗車します。JRではないので、通常は切符を購入する必要が出てきますが、今回乗る区間の場合は特例により、青春18きっぷのみで乗ることができます。
    青い森鉄道はJRの東北本線だった区間の内青森県内の区間を引き継いだ第三セクターの鉄道会社です。東北新幹線開通のため、並行在来線がJRから経営分離される際に誕生しました。新幹線と並行のJR東北本線がその対象になりましたが、並行とみなされない八戸線などはJRのまま運営されています。八戸線は接続しているJR線が東北本線だけだったので、青春18きっぷを使用するには必ず別会社の路線を乗る必要が出てくるため、救済措置としてJR相互を乗り継ぐ場合に限り、青春18きっぷのみで青森~八戸間を通過してもよいことになっています。

    青い森鉄道 浅虫温泉駅付近

    話が後になっていましたが、今回乗る船は八戸から出ている「シルバーフェリー」です。そのため青い森鉄道に乗車することになりました。

    帰宅ラッシュで車内は満員。混雑が収まった浅虫温泉駅から車窓を観れました。ちょうど陸奥湾に夕日が落ちていきます。
    すっかり夜になってしばらく闇の中を進み、八戸駅に19時前に到着。ちなみに乗った車両は元701系でした。JRから譲渡されたものです。今日乗ったすべての電車が701系でした。

    八戸駅 ホーム

    しばらく待ち時間があるので、一旦改札を出てみます。果たして出られるのでしょうか?
    青春18きっぷを自動改札に通すと…
    切符が出てきました!降りられるようです。
    青森駅と八戸駅ならば、途中下車が可能のようです。が、出来るかどうかやってみるまで不安でした。詳しい切符のルールはネットで調べられるので、みなさんも乗るときはご確認お願い致します。

    本八戸駅 ホーム
    本八戸駅 外観

    八戸線に乗り換え、本八戸へ。八戸駅から市の中心部までは結構離れていて、本八戸駅が最も中心街に近い駅です。八戸線は非電化路線で、気動車はキハE120系500番台の2両編成。この列車も満員でした。
    この駅で降りたのは、おいしいものをたべるため。さあ、ご飯の時間です。

    サバの駅 外観

    あらかじめ探しておいたサバ料理を食べられる店に入店。繁華街のビルの1階にあり、辺りは呑兵衛のオアシスといった雰囲気。

    銀さばトロ漬け丼

    名物と紹介されていた「銀さばトロ漬け丼」を注文。大と中がありましたが、お店の人にしっかり食べられる方には大をおすすめしますとのことなので、大を注文しました。居酒屋だったので、中だと量が少ないらしいです。〆に食べる用なのかも。
    味はとにかく美味い!これしか言葉が出てきませんでした。語彙力が欲しい。サバのうまみがすごいのと、酢飯の塩梅が抜群でご飯が進みます。
    これはすごくおいしいので、また食べに来たい一品でした。ごちそうさまでした。


    八戸中心街ターミナル三日町 20:45 ⇒ 八戸港 21:10          (南部バス 交通系IC可)
    八戸港 22:00 ⇒ 苫小牧西港 6:00

    南部バス

    「サバの駅」から近いバス停から八戸港に向かいます。いよいよ今日の「宿」のシルバーフェリーに乗船しようと思います。
    バスの運転手さんに、「フェリーに乗られますか?」的なことを聞かれました。おそらく乗り間違えて無いかを尋ねられたのでしょう。八戸港は市街地からちょっと離れたところにあるので、親切にも確認をとられたんだと思います。乗っていた乗客は三日町のバス停で皆降りていき、僕だけになりました。不安を感じましたが、本八戸駅からも一人乗ってこられたので少しだけ安心出来ました。その方も同じ質問をされていました。

    シルバーフェリー 外観

    バスはどんどん市街地から外れていき、倉庫や工場が多い地帯を進み、八戸港のフェリーターミナルに到着。闇の中に白い船体が街路灯の光で浮かび上がっています。
    予約を事前にしていたので、自動チェックイン機で手続きし、すぐに乗船可能に。売店で飲み物を購入し、いざ乗船へ。

    シルバーフェリー 廊下
    2等寝台A

    乗り込んだフロアは車両を積み込むエリアで、一つ上の階へエスカレーターで上がります。船の中にエスカレーターがあるのが驚きです。まずはお部屋に直行します。2等寝台Aを予約してました。寝るだけなので、これで十分でしょう。設備もきれいで、古さは特に感じません。2段ベットですが相席になることはありません。私は下のベットを使うことにしました。

    大浴場
    イートインスペース

    身支度を終えて、船内を探索します。先日乗船したさんふらわぁよりも派手さはありませんが、必要なものがコンパクトにある印象です。大浴場とオートレストランという自動販売機群が完備されています。私はイートインスペースで買っていた缶酎ハイとピーナッツで呑みました。お風呂は既に済ませているので今回は利用しませんでした。
    出航するとしばらく揺れを感じました。酔いが回っているのではなく、船の方です。瀬戸内海と比べると体で揺れを感じる回数は多かったですが、気分が悪くなるほどではなかったのですが、念のため酔い止め薬を飲んでおきました。
    明日も早いのでここで終わります。

    ~5日目に続く~

  • 日本最西端の駅から最東端の駅へ行ってみる (その4)

    日本最西端の駅から最東端の駅へ行ってみる (その4)

    4日目 長野(長野県)~ 酒田(山形県)

    2025年4月8日(火)

    アップルパイ 長野

    旅は4日目、ここから後半戦に入ります。昨日の夜は洗濯物があったので、結局寝付くまで時間が掛かり、6時半の目覚ましには何とか反応したもののベットから起き上がれず。いや、起き上がりたくない。
    苦手な朝のわずかな時間で食べられるのは、好物に限ります。私の場合アップルパイです。昨日長野駅のお土産売場で購入しておいたものです。
    7:45発の列車に乗るので、急いで身支度を整え、駅に直行しました。今日も晴れてます。


    駅に着いたのは発車の5分前。ここからはしなの鉄道に乗車します。ここから日本海側を目指すJR線は北陸新幹線しかなく、在来線はJRとは別のしなの鉄道に乗る必要があります。7:45発で妙高高原駅まで行き、えちごトキめき鉄道に乗り換えて、新潟県の直江津駅まで向かえば、再びJRに乗ることができます。したがって長野~直江津間は、別途切符を購入して乗ります。

    かつてはこの区間もJRが運行していましたが、新幹線が開通したことで、在来線は各自治体が運営する第三セクターによって運行するようになりました。日本縦断を青春18きっぷのみ使用をする場合は、おそらく東京経由を選択するようになると思います。

    長野駅 善光寺口

    長野経由を選択したのは、あまり行ったことがないところを通りたいのと、車窓が日本海側を通る方が良いと思ったからです。あと、できる限り青春18きっぷを使える区間を選ぶようにしたら、このルートになりました。

    練りに練った計画ですが、あくまで机上の話。昨日までに溜まった疲労までは考慮できてなかったですね。


    長野 8:05 ⇒ 上越妙高 8:28

    ホテルから駅までの道中で体調のことを考えました。旅はまだまだ続く、根室まで無事尽きたいので、今日は無理をしないでおこうと決めました。

    北陸新幹線E7系 はくたか号 

    しなの鉄道に乗ることは諦め、北陸新幹線で日本海側まで出ることにしました。
    もちろんお金はかかりますが、どちらにしても切符は買う予定だったと思えば悪くないです。

    当たり前ですが、座席の違いは明らかで、腰とお尻に非常にやさしく、リクライニングできるなんて!と感動してしまいました。
    計画してた時は、たびら平戸口駅をスタートしたら絶対に新幹線は使わないようにと決めていたのに、できなかった悔しさを感じながらも次第に座席の快適さの感動が上回り、どうでもよくなりました!


    上越妙高 8:44 ⇒ 高田 8:52(えちごトキめき鉄道 交通系IC不可)

    飯山駅からの長いトンネルを抜けると、妙高山の迫力ある雪景色が見えてきて、まもなく上越妙高というアナウンスが流れました。在来線で1時間半かかるところを20分ちょっとで着いちゃうんですから、新幹線のちからすごいわ。

    えちごトキめき鉄道に乗り換えるため、一旦改札を出ます。別会社なので改札が分かれているんです。ICカードは使えないので、券売機で切符を買います。

    上越妙高駅
    えちごトキめき鉄道

    目指すのは高田駅。上越市の中心地で、ここには桜の名所があります。乗車したのは元JR東日本のE127系で、えちごトキめき鉄道ではET127系と呼ばれています。車掌さんのハキハキとした点呼が印象的でした。


    高田駅

    高田駅から桜の名所までは15分から20分ほど歩きました。住宅街を超えると急に現れます。さくら名所100選の地、高田城址公園に到着です。

    高田城址公園1

    お堀の脇に幾本の桜が植わって、雪山との対比が春の訪れをより際立たせる絶景。私の地元では絶対に見ることができない景色です。

    高田城址公園はこの時期に約4000本のソメイヨシノが咲くそう。お城の規模は小さいながらも、規模に対して明らかに桜の量がとても多いと感じました。間違いなくここは日本でトップクラスの桜名所だと思います。
    屋台も結構な数出店していたので、お昼が近づくと人が増えていきそうです。私が訪れた9時くらいだとすいていました。

    高田城址公園5

    実は予定より30分早く着いたので、じっくりと桜の写真を撮ることができました。新幹線で来て正解でした。時間が迫るも最後までベストな画角を探して撮ったのが上の一枚です。どうでしょうか?


    高田  10:20 ⇒ 直江津 10:29(えちごトキめき鉄道)
    直江津 11:01  ⇒  宮内  12:27

    えちごトキめき鉄道に再び乗車し、終点の直江津駅に到着。高崎からのびる信越本線と米原からのびる北陸本線の分岐駅として古くから鉄道の拠点駅です。北陸新幹線ができる前までは、特急列車が頻繁に行き交う駅だったんです。

    直江津駅1
    直江津駅2

    現在でも特急しらゆき号が残ってますが、少数派で、普通列車が大半を占めています。長いホームを覆う屋根が国鉄時代の雰囲気を今に残しています。

    ここから乗り継ぐのはJR東日本の信越本線。青春18きっぷの使用はここからです。ホームには新潟地区の新定番E129系長岡行が待っていました。
    直江津から2駅先の犀潟駅までは北越急行線の列車も通る区間。小学生の時に「電車でGO!」のプロフェッショナル仕様に収録されていた路線で、ゲーム上では何度も見ていた景色。線路のカーブの感じとか森が見えてくるタイミングとか、リアルをしっかり取り入れてくれているんですよね。ここを通るのは人生で2回目。昨年初めて訪れたのですが、やっと来れたと思って、感動しました。広島県の住民にとって、新潟とか東北ってすごく遠くに感じる場所で、私にとっては憧れる場所です。

    柿崎駅からようやく車窓に日本海が見えてきて、しばらく海岸沿いを走ってくれます。ちょっと曇ってるのが残念ですが…。

    信越線 青海川駅付近

    青海川駅は海に近い駅として有名です。今回はスルーしますが、絶対に降りて見たい駅の一つです。その時は晴れてたらいいな。

    青海川駅

    海が見えるのは柏崎駅手前までで、長岡までは山越えの区間になります。とある駅にはまだ雪が残ってました。
    宮内駅で東京からくる上越線と合流して、列車は長岡に向かいますが、私はこの宮内駅で途中下車しました。お昼ご飯を食べます。

    駅出て真正面に渋い食堂が見えてきますが、これは「青島食堂」という長岡ラーメンの有名店。昨年長岡に来たことがあったのですが、ご当地のものを全然食べられずに帰っちゃったので、リベンジしたくこの店を選びました。

    青島食堂

    既に5~6人が列を作っていたので並んでいましたが、後から来た方が券売機で食券を買って並ばれていたので、私も見習わせていただきました。列を並び直しましたが、回転が速いので10分かからないくらいで着席出来ました。

    長岡生姜ラーメン

    せっかくなのでチャーシュー麺の大盛りを注文。女性2人で20人くらいいる客を捌いていて、大変だと思いますが、一つも無駄のない動きで流れるようにラーメンを提供していってました。長岡ラーメンは醤油スープに生姜が入っているのが特徴だそう。ちぢれ麵がおいしいですね。生姜がメインという感じではなくアクセントになっていると表現するのが合っているように思います。チャーシューはしっかりめで食べ応えがあっておいしかった。ごちそうさまでした。


    宮内 13:27 ⇒ 長岡 1331
    長岡 13:39 ⇒ 新津 14:34

    長岡駅で新潟行きに乗り換え。長岡の名物は花火。昨年長岡に訪れたのは花火が目的でした。急に休みが取れたので、思い付きで行ったので有料観客席ではなく端っこの公園で見物しましたが、それでも楽しめました。花火の規模とレベルが桁違いでした。実際に見たから思うのですが、絶対に有料席で見た方がいいですね。多分もっと感動するはず。

    信越線 新潟平野

    信越線は新潟平野をまっすぐ走り抜けます。左右どちらの窓からも田んぼが果てしなく広がっていました。1月半くらいたつと田植えの時期になって、緑色で埋め尽くすのでしょう。
    新津駅で羽越本線に乗り換えるため、途中下車しました。しばらく時間があるので、駅を見学します。新津も鉄道の拠点駅で、信越線、羽越線、磐越西線の3線が合流しています。SLばんえつ物語号の客車が止まってました。

    新津駅2
    新津駅3

    羽越線は新津駅から秋田駅まで日本海側をすすむ路線。特急列車も走っていますが、ほとんどの列車が新潟駅から白新線を通って新発田駅から羽越線に合流するため、新津駅から新発田駅までの区間は列車本数がかなり少ないです。この区間が未乗車だったので、今から乗る列車が今日一番乗りたかった列車です。


    新津 15:17 ⇒ 酒田 18:39

    乗車する酒田行が今日最後の列車。GV―E400系気動車はJR東日本が既存の気動車を置き換えるために開発した車両。電気式気動車といって、ディーゼルエンジンで発電した電力でモーターを動かす仕組みになっています。乗った感覚は電車そのもので、気動車独特のエンジンの振動と音は無く、スーッと発車していきます。ちなみに、羽越線は電化されていますが、村上駅の北にデッドセクションがあるため、村上駅を超えて運転する列車は気動車か交直流電車での運転になります。デッドセクションの説明はこの後にします。

    羽越線 GVーE400系

    雨が降ってきて、帰宅する学生の利用が多くなり、2両編成のワンマン列車は次第に混雑に。帰宅時間にはちょっと早いので、部活動がまだ始まってない高校1年生でしょうか。ワンマン列車に乗りなれていないのか、扉が開かないと降りられず焦っている子もいました。それを周りの生徒たちが教えてあげていて、運転士さんも待ってくれているようでした。

    乗車して1時間後、村上駅で大半の乗客が下車しました。酒田までまだ2時間かかります。この列車、結構なロングランとなります。
    この駅の北に先ほど言ったデッドセクションがあります。電気には直流と交流の2種類があり、直流と交流の境目のことをデッドセクションと言います。歴史的には直流電化が最初に普及して、そのあとに交流電化が普及しました。日本各地の路線を少しずつ電化していった結果、デッドセクションという境目ができたのです。直流と交流ではそれぞれにメリット・デメリットがあるので、コスト面や地域の特性で使い分けているという理由もあります。

    羽越線 笹川流れ1

    その「デッドセクション」を通過すると、日本海が見えてきます。ここは日本有数の夕日スポット。ここで夕日の絶景を写真に収めようと狙っていましたが、残念な天候となってしまいました。まだ、雨が上がってくれただけでも良かったと思いましょうか。海に突き出た岩場がたびたび現れて、荒々しい景色がしばらく続きました。

    羽越線 笹川流れ2
    羽越線 日本海車窓1
    羽越線 日本海車窓2

    鼠ヶ関駅到着手前で、新潟県から山形県へ。ついに東北地方に突入です。その後もしばらく海岸線を走り、小波渡駅から内陸に進路を変え、庄内平野を進み鶴岡駅に到着。この辺りで一番大きな駅で、再び大量の学生が乗り込んできました。車窓は完全に闇に覆われ、スマホの電池も残りわずか。おまけにお尻や腰が爆発寸前。終点までの3駅くらいがきつかった。

    酒田駅

    終点の酒田駅には定刻通りの到着。今日はここで終了です。駅前すぐのホテルを予約しています。ガラス張りのおしゃれな建物が目を引きます。

    月のホテル1
    月のホテル2

    よく見るとその中は市の図書館でした。ホテルは同じ建物内にある「月のホテル」。図書館の本をホテルでも読むことができるそうです。
    さあ、ご飯を食べに行きましょう。

    雲ノ糸 ワンタンメン

    夜もラーメンをいただきます。新潟と山形は共にラーメン大国で、消費量の1位2位を争う間柄です。それを知って、今日は2食ともラーメンにしようと決めていました。ホテルから近くて、営業していた「中華そば雲ノ糸酒田店」に入店し、ワンタンメンの味玉トッピングを注文しました。
    魚介スープに太麺で食べ応えがあり、ワンタンがつるつるであっという間に無くなりました。疲れた体に沁みます。ごちそうさまでした。

    雲ノ糸 外観

    コンビニでお酒とつまみを購入し、部屋に戻って晩酌タイム。体調が戻ってきて、ようやく旅の楽しみを全うできました。
    明日は本州走破のち、北の大地へ。

    ~5日目に続く~

  • 日本最西端の駅から最東端の駅へ行ってみる (その3)

    日本最西端の駅から最東端の駅へ行ってみる (その3)

    3日目 大阪南港(大阪府)~ 長野(長野県)

    2025年4月7日(月)

    早起きしなければという真面目な意識が強く、目が覚めたのですが、体はまだ眠り足りない様子。元来早起きが得意ではないので、少しつらい朝になりました。朝風呂をして体を覚ますことに。5時台にもかかわらず多くの方が利用していました。湯舟につかると、水面を静かに進む抜けてゆく大阪湾を一望できました。

    地卵はちみつプリン
    さんふらわぁ 大阪南港

    朝食は食べる気にならなかったのですが、一応昨日買ったプリンを口にしました。由布院駅前で購入した「地卵はちみつプリン」。たまごの味がしっかりあって甘さ控えめでスルッと食べられました。
    下船時間が近づくと、乗船口に列が出来ていたので並ぶことに。ロビーの椅子にも多くの方が集まっていました。車で下船する人とは降りるところが違うようでした。やや混雑していましたが、わりと早く下船出来ました。


    トレードセンター前 6:58 ⇒ コスモスクエア 7:01(OsakaMetro)
    コスモスクエア   7:06 ⇒ 弁天町     7:14(OsakaMetro)

    3日目も晴天。天候に恵まれてます。
    港最寄りのトレードセンター前駅からは大阪メトロのニュートラムに乗車。

    さんふらわぁ乗り場
    ニュートラム トレードセンター前駅

    臨海部を走る新交通システムで、車輪がタイヤになっているのが特徴です。ニュートラムの車両は、車両前面部がキュートなお顔をぜひ見てほしいです。
    出発すると、港の倉庫やクレーンが見えてきますが、すぐに地下に潜ってコスモスクエア駅に到着。ここで中央線に乗り換えます。中央線は普通の地下鉄ですが、大阪・関西万博も会場最寄りの夢洲に迎える唯一の鉄道路線です。この日は万博開催前でしたので乗客はまだ疎らでした。ちなみにニュートラムも地下鉄も同じ大阪メトロなので、改札を出ることなく乗ることができます。

    大阪メトロ中央線 弁天町駅

    中央線の臨海部は地下鉄ですが高架区間があります。弁天町駅はJRの高架よりも高い位置に作られているのが特徴です。新型車両に乗ることができました。


    弁天町 7:22  ⇒ 大阪      7:30
    大阪  7:47  ⇒ 草津(滋賀県) 8:42

    弁天町からはJRに乗るので、青春18きっぷの使用を再開します。この時間から既に多くの通勤通学客がいました。自動改札を通れるのは混雑するときに助かるなと思います。以前は有人改札で駅員さんに切符を見せる必要がありました。

    弁天町駅を通る大阪環状線は、東京の山手線と同じ環状運転する路線ですが、一周運転して奈良や和歌山に向かう列車も混ざって運転されるので、山手線と異なり様々な種類の車両を見ることができますし、環状線内を快速運転する列車も運行されます。

    大阪駅1・2番線
    大阪駅 大屋根

    列車案内板を見ると、朝ラッシュの時間はさすがに環状運転する各駅停車タイプばかりでしたね。複雑な運行体系なので「初見殺し」と言われているらしいですが、大阪のごちゃごちゃしたイメージの一つだと思えば、楽しめそうです。

    昨日のんびり散歩していた時と、今朝の大都市大阪の通勤ラッシュで、緊張と緩和の乱高下を感じました。体がフワフワ浮いていると言うか、単なる寝不足なのかなあ…。
    続いて乗るのは、JR西日本ご自慢の「新快速」米原行き。座りたいですが、入線した列車は超満員。乗るや否や反対側の扉まで人の波によって押し込まれます。

    新快速 草津駅

    新快速は神戸線、京都線、琵琶湖線などを最高時速130㎞/hで走り抜ける関西のエース列車。停車駅も主要駅に絞られていますし、運賃だけで乗れるので、青春18きっぷの強い味方です。ただ、通勤客の強い味方(むしろこっちの方が主流)でもあるので、いつ乗っても多くの人が乗っている印象があります。

    これに乗って一気に東を目指すのが今日のプラン。米原、大垣と東海道線を乗り継いで昼前までに名古屋に着き、名古屋メシにありつきたい…と計画していました。列車は快調に飛ばし、気づけば京都駅到着のアナウンスが流れました。この列車は湖西線を行く敦賀行きを連結して運転していたので、ここで切り離しを行うそう。日本最長のホーム、京都駅0番線にて行われる珍しい”イベント”を観たかったのですが、体が限界に。車酔いみたいに気持ち悪くなってしまいました。自覚はしておりましたが、満員列車に乗ったことでガマンの限界に達してしまいました。
    今すぐ降りて休憩しようとも考えましたが、乗らなきゃいけない列車が今後の予定に入っており、進まないといけないという思いとで葛藤しましたが、やっぱり途中下車することにしました。

    降りたのは滋賀県の草津駅。時間帯もラッシュが終わっていく頃でした。
    過去にあったかい食事を採ると良くなることが多かったので、今回もそう考えました。地図アプリで調べた駅前すぐの牛丼チェーン店に入店。

    豚汁を胃に入ると、それまでの気持ち悪さが嘘のように無くなっていきます。朝食はしっかり食べろとはよく言われますが、松屋からも教えてもらった気がしました。ありがとう、松屋草津駅西口店。


    草津(滋賀県) 9:47 ⇒ 柘植 10:30
    さあこっからどうするか?
    私の頭の中で、ある案が思いついていました。草津線に乗れないか、と。
    草津線は私にとって未乗車区間で、これに乗っても名古屋まで乗り継いでいくことができます。ただし東海道線ルートに比べ時間が掛かるので、計画時は採用しませんでした。

    こんな機会は無い!と、草津線ルートに方針転換。これによって、今後の列車が次の目的地まで4回連続乗り換えが確定しました。先ほどの新快速の車内で草津線ルートが浮かんでしまったんですよね。未乗車区間はつぶしておきたい…乗り鉄の性が出ましたね。しかしこの決断が新たな試練を生むことに…。

    草津川跡地公園 桜

    列車までの時間で、草津駅周辺を観光しました。
    10分くらいで草津川跡地の公園へ。新しい川を作ったことで必要なくなった川の跡を公園にした珍しいスポットです。しかも天井川といって、街の高さよりも高い位置を流れる川だったので、列車は現在でも旧川の下を通っています。
    桜がベストコンディションで咲いていました。

    草津線の電車は223系2500番台。国鉄型の113系や117系がいるイメージでしたが、JR世代の車両に置き換わっていました。草津線は全線単線ですが、沿線に住宅が多く、結構需要がある路線。車窓は単調ですが、貴生川駅で近江鉄道と信楽高原鉄道が合流し、それぞれの車両を見ることができます。
    柘植駅では忍者が伊賀へ行くように仕向けてきますが、私は名古屋方面に。忍者なら1番線へ行くべきでしょうね。柘植駅の手前で三重県に入っています。草津線沿線の滋賀県南部の甲賀と三重県の伊賀は忍者の里です。

    柘植駅

    柘植 10:40 ⇒ 亀山  11:03
    亀山 11:24  ⇒ 名古屋 12:35

    柘植からは、関西本線の気動車2両編成に乗ります。関西本線は、大阪・奈良近郊では大和路線の愛称で知られています。京都府の加茂から先の亀山までは需要が少なく、電車ではなく気動車で運転され、極端な格差を感じる路線ですが、通勤電車からいきなりローカルな雰囲気になる面白さがあるので、ぜひ体感してほしい路線です。

    キハ120系 亀山駅

    車内はカーテンを閉めている人が多く、景色は隙間からちらりと見ることにします。他人の邪魔になることはしないのが、乗り鉄の流儀だと心がけています。

    亀山駅でさらに関西線の列車に乗り換えます。この駅はJR西日本とJR東海の境界になっていて、ここから名古屋の都市圏に入っていきます。乗り換えるのは313系電車。東海地区では非常によく見る形式です。
    青春18きっぷは、JRの各会社をまたがって乗ることができる大変貴重な切符で、同じJRと言えでもお得な切符の類で境界を超すのは意外と少ないです。ICカードも境界を超える利用ができないことが多く、亀山駅もその対象になっています。

    313系は非常に乗り心地が良い車両。クロスシートで背もたれが高く、居住性が高いのが特徴です。四日市を過ぎ、気づけば寝ていました。
    目が覚めると桑名駅に到着していました。寝ぼけながら木曽川の橋梁を渡るシーンを撮影。ここでついに愛知県へ突入。

    木曽川橋梁 関西線

    名古屋 12:42 ⇒ 中津川 14:06
    中津川 14:14 ⇒ 奈良井 15:52

    12時半を過ぎてようやく名古屋に到着。本来ならランチタイムですが、その時間は無く、次の列車へ。中央本線の区間快速で中津川を目指します。この日本縦断では、東京を通過しない方法で目指すことにしました。

    315系 名古屋駅
    313系 中津川駅

    新型の315系電車は、初乗車の車両。ロングシートですが、座面にくぼみがあり、座り続けても疲れにくいかなと感じました。
    名古屋駅で発車を待つ間、きしめん屋からいいダシの香りが車内に。そそられますが、ここは時間の都合で断念。先に行かなければなりません。この先の列車の本数が少なくなるからです。

    金山駅で乗客が大量に乗り込んでくると、鶴舞、千種、大曽根の各駅で、立ち客が入れ替わりながらも満員に近い状態で列車は北上。景色も見れず、目をつむっていると気づけば夢の世界に。高蔵寺駅で目が覚めると、ほとんどの乗客が降りてガラガラになっていました。
    トンネルが連続する多治見までの区間では、わずかな時間渓谷の景色が見えます。この辺で岐阜県に入っています。中津川までは線形がいいので、普通列車でも130㎞/hを出すこともあります。里山の風景をぶっ飛ばして駆け抜けていき、中津川まであっという間に感じました。

    中津川からは313系の2両編成に乗り換え。一気に編成が短くなります。中津川から塩尻までが中央線の難所区間で、14:14発を逃すと次の松本行は16:56なので、2時間半以上空くことに。この度全体の行程と体力を考えたうえで、この14:14発を逃すわけにはいきませんでした。

    落合川駅 桜

    景色は中津川から先は木曾川が寄り添ってきます。落合川駅手前には桜とのコラボレーションを望めます。

    中央線 車窓1
    中央線 車窓2

    南木曽駅では外国人が大量乗車し、一気に満員に。旧中山道の妻籠宿や馬籠宿を観光した帰りだと思われます。言葉はわかりませんが楽しくおしゃべりをする人や木曽路の渓谷の風景を眺めて楽しむ人、疲れ切って眠っている人など様々で、それぞれの形で旅を楽しんでいると感じられました。
    賑やかな車内で、ひっそりと私は渓谷や山の景色を写真に撮って楽しむことに。上記右の写真は名勝「寝覚の床」。私の指が反射して映り込んでしまってます。窓ガラス越しの撮影は難しいですね。どうやったらうまくいくものでしょうか?

    奈良井駅

    奈良井駅には16時前に到着。奈良井宿を見るため、昼飯を抜くことにしましたが、何はともあれ来れて良かった。今日のメインイベントは奈良井宿に行くことに前から決めていましたので、意地になりました。

    奈良井宿1

    駅から出て左に進むとすぐに宿場が見えるのですが、あまりにも雰囲気が良くて、「江戸だ…」と心の中でつぶやきました。前日訪れた筑後吉井や日田の豆田町も素晴らしいですが、景観だけで比べるとちょっと格が違うなと。
    木造の建物が連続して道の両脇に揃って残っているところってそうあるものでは無いですよね。まちの人々の暮らしがあり、時代が進むにつれての建築技術の進化がある中で、現代のつくりの建物がどっかに出てきても当然なのですが…。

    木曽路の深い谷が夕暮れを早めていて、宿場町の旅情を一層引き立たせてくれます。平日で時間帯的にも人が少なく、絵になる光景を前に写真が多くなっていきました。

    奈良井駅1
    奈良井駅2

    奈良井駅も宿場に寄せたつくり。観光地ですが特急列車は止まりません。普通列車で訪れるのが似合う駅、そして街並みでした。


    奈良井 16:57 ⇒ 塩尻 17:21
    塩尻  18:07 ⇒ 長野 19:32

    今日の目的地は長野駅。南木曽あたりで長野県には入っていますが、長野駅まではまだ2時間半程度かかります。この時間になってさすがに空腹が耐え難くなってきました。塩尻で下車。ここには名物の駅そばがあります。

    塩尻駅1
    塩尻駅2 駅そば

    え、待って…
    閉まっていました。17時閉店だそう。前もって調べるべきだった…。
    疲れと空腹とで頭が働きません。おまけにちょっと寒い。長野に入ると気温が違いましたね。リュックに詰めていたジャンパーを出して着ます。
    駅のコンビニでお菓子を買い、待合室で食べて空腹をしのぎます。列車の待ち時間内で飲食店に行くのはリスキーと判断しました。1本逃すと1時間遅くなるし、洗濯したいので早めにホテルに着きたいし…。
    これまでにもいっぱい旅をしてきたので、アクシデントも比例して経験してきたと思っておりましたが、これほど体力を削られたことはありませんでした。列車に乗った本数でいうと、この日が最も多かった。修行と言っても差し支えありません。(楽しいのは間違いないのですけどね…)

    塩尻からは長野行きの211系。国鉄時に作られた車両で、写真のはJR東日本の車両です。塩尻駅はJR東海とJR東日本の境界駅。今日は2回も境界を越えていったことになります。

    211系
    長野駅

    長野駅に近づくごとに乗客が減っていき席が空いてきましたが、私は立っていました。席に座るのがつらいのです。
    19時32分、定刻で長野到着。とにかく早くごはんを食べましょう。それしか考えられません。駅ビルのレストラン街へ。そこでソースカツ丼の店を発見。駒ケ根市の有名店である「明治亭」でした。

    明治亭 ソースカツ丼

    蓋が本来の意味を成さないほどカツが分厚く、千切りキャベツがモリモリ。写真を撮ったら秒で食しました。もう最高。
    ソースが甘めですが、キャベツと一緒に食べることで、食べ飽きることがありません。最後までサラッとイケます。ちなみに、蓋はカツをよけておく皿代わりに使うそうです。食べる前に店員さんが教えてくださいました。確かにカツをよけないとごはんを食べるのが難しかったです。
    今日は試練があり、しんどい思いをしましたが、おいしいご当地グルメで締めれてよかった。ごちそうさまでした。

    長野駅から今日の宿へ。

    ホテルナガノアベニュー シングル
    ホテルナガノアベニュー 外観

    駅から10分くらいのホテルナガノアベニューに宿泊しました。建物のつくりは古めですが、お部屋のリフォームをしているのか、新しいホテルと遜色ない快適なホテルでした。大浴場もランドリーもあるので助かりました。
    ゆっくりできそうです。

    ~4日目に続く~

  • 日本最西端の駅から最東端の駅へ行ってみる (その2)

    日本最西端の駅から最東端の駅へ行ってみる (その2)

    2日目 武雄温泉(佐賀県)~ 別府(大分県)

    2025年4月6日(日)

    武雄温泉 8:26 ⇒ 鳥栖 9:35

    昨日と続いて晴天の2日目。九州を横断し大分県を目指します。
    今日からは青春18きっぷを使って、普通列車の旅です。
    いつか日本縦断するならこの切符を使いたいと思っていました。
    今回は5日間用を購入。一日当たり2410円でJR全線の普通・快速列車が乗り放題になります。最近になって、使用開始日から連続使用の条件ができたので、不便になったとの声があるそうですが、自動改札が通れるようになったのは朗報だと思っています。
    8年ぶりに18きっぷ使っての旅なので楽しみです。腰がヤラれないかがちょっと心配ですが、行ってみましょうか!

    吉野ケ里 車窓

    佐賀駅を過ぎると車窓に吉野ケ里遺跡が見えてきます。
    (わかりにくくてごめんなさい。)

    鳥栖駅1 817系
    鳥栖駅2

    佐賀市付近の長崎本線は直線が多く、普通列車でもスピードが出る区間です。疾走感がたまりません。
    鳥栖駅は長崎本線と鹿児島本線という幹線が合流するので、古くから鉄道の拠点です。周辺の拠点駅が続々と新しくなる中で、ここだけは変わらず昔の姿を守っています。
    鹿児島本線に乗り換えます。


    鳥栖  10:06 ⇒ 久留米  10:14
    久留米 10:15 ⇒ 筑後吉井 10:53

    鹿児島線で佐賀県から福岡県に突入。久留米駅で1分乗り換えを無事クリアし、久大線のディーゼルカーで目指すは筑後吉井駅。途中下車は青春18きっぷの醍醐味です。

    筑後吉井1
    筑後吉井2

    駅から10分ほどで漆喰塗りの屋敷が並ぶ通りに到着。江戸時代の宿場町だそうです。どの建物も古いですが、きれいに整備されているため、壮観な眺めです。建物内はカフェや雑貨店などに活用されているようで、どこもおしゃれな雰囲気。男ひとりだと中に入る勇気がでませんでした…。

    筑後吉井3
    筑後吉井4

    周辺の川には、大小様々なこいのぼりが泳いでいました。この風が実に気持ちの良いことで。


    筑後吉井5 エキナカ
    筑後吉井6 ホーム

    筑後吉井 12:02 ⇒ 日田 12:26
    街並みをサラッと見るなら1時間あれば回れると思います。ここでランチしてもよかったのですが、先を進みます。車窓には菜の花が見えました。

    日田も歴史ある街並みが有名。その前にランチです。
    駅から歩いて8分、日田焼きそばの有名店「想夫恋」の創業店へ。
    麺を揚げ焼きするのが日田焼きそばの特徴。カウンター席の目の前に鉄板があり、そこで焼いてくれます。濃い目の味付けなので、卵と絡めて食べるのがおすすめです。ご飯と一緒に食べる方もいらっしゃいました。
    以前、小倉駅にあった想夫恋で食べたことがあり、また食べたいと思っていたので来れて良かった。美味しかったです。

    日田焼きそば 想夫恋

    想夫恋の店から北向きに10分程度歩いていくと、日田を代表する観光スポットである豆田町の街並みが現れてきます。この日は日曜日で天気が良かったので、観光されている方で賑わっていました。しばらくこの辺りを何も考えず散歩してみました。昨日に比べてゆるゆるのスケジュールなので、頭がのんびりモードに。列車の時間が近いことを忘れてしまいそうなので、早めに駅に戻ります。

    日田 豆田町

    日田 14:39      ⇒ 由布院 15:53
    由布院駅前BC 16:25 ⇒ フェリーさんふらわあ別府前 17:17(亀の井バス 交通系IC可)

    日田駅
    旧豊後森機関庫

    久大線を大分方面に進む赤いディーゼルカーに乗車。日田は大分県ですが福岡県と隣接しているため、久留米方面への需要が多く、1時間に1~2本列車がありますが、大分方面は2時間近く空いてしまうことがあります。

    列車が少ないところは、大抵車窓に富む区間と言えます。日田を出ると程なくして山が迫り、渓谷沿いを進みます。天ケ瀬駅周辺は渓谷沿いの温泉街を見ることができます。
    豊後森駅を出ると、進行右手に扇形の機関庫が見えてきます。蒸気機関車全盛の時代には、多くの機関車が並び、鉄道関係者も数多く働いていたものと思われます。使われなくなって久しいので、窓ガラスが割れているところもありますが、あえて朽ちた状態のまま保存してあるそうです。いつか降りて見てみたいです。

    由布院駅 ホーム
    由布院駅前 由布岳

    豊後森からも一つ峠を越えて、視界が開けてくると、進行方向正面に由布岳が圧倒的な存在感で見えてきます。
    由布院駅に到着。バスに乗り換えるために、ここで途中下車します。ホームには信号の3色に揃った列車が並ぶ、シャッターチャンスが到来。駅を出ると真正面にそびえる由布岳が見え、そのインパクトは絶大です。

    さて、青春18きっぷで別府に向かうには、先ほどの列車で大分に行き、さらに日豊線に乗り継げばいいのですが、あえてバスで別府を目指します。その理由は2つあります。
    1つ目は、別府である乗り物に乗り継ぐからです。そのあるものは、フェリーです。別府港から「さんふらわあ」に乗り、一夜を明かしながら、一気に大阪まで行ってしまおうという計画を立てました。由布院駅から出ている別府駅行きのバスは「さんふらわあ」のりばまで直接行ってくれます(一部時間帯を除く)。あと、由布院~別府間は鉄道よりも道路のほうが直線的に結んでいるため、バスのほうが到着が早いのです。

    やまなみハイウェイ

    2つ目は、景色が素晴らしいからです。別府へ向かう峠道は、由布岳のそばを通ります。山肌が草に覆われているだけなので、とても荒々しい景色です。この区間だけ外国に来たみたいに感じられます。時間を節約しながら観光もできるなんて、我ながらいい作戦を思いつきました。

    ゆふりん号1
    ゆふりん号2

    「ゆふりん」号というこのバスは、別府ロープウェイや鉄輪温泉といった観光地を結んでおり、その他のバス停は通過していくので、観光客に特化したバスと言えます。あと、バスのラッピングがかわいいです。


    別府港 18:45 ⇒ 大阪南港 6:35(さんふらわあ むらさき)

    さんふらわあに乗るには、ターミナルの受付で乗船券を買うこともできますが、当日は予約で埋まっている可能性が高いので、1か月前くらいにネットで予約していきました。乗船当日にメールにQRコードが送られて、それを乗船の改札で使用するのですが、なぜかQRコードが出せなかったので、受付で発券してもらいました。快く対応していただきました。乗船1時間前にはターミナルに着けるようにしたほうが良いです。

    さんふらわあ むらさき 別府港

    ターミナルからは全景が見えないので、ちょっと離れてさんふらわあを撮影。夕日に照らされる巨大な船体を見るだけで、テンションが上がってきました。

    さんふらわあ ロビー

    ボーディングブリッジを歩いて、いざ乗船。真っ先に見えるロビーの豪華さに感動。初めて乗船した人の多くが、ホテルとかショッピングモールみたいだと思うでしょうね。私もです。
    「さんふらわあ むらさき」は2023年にデビューした新造船。見た目も設備も令和スタイルになって、快適性は申し分なしです。

    さんふらわあ 船室通路
    さんふらわあ プライベートシングル

    私の部屋は、ロビーの階段を一つ上がった7階のプライベートシングルという部屋で、個室になっています。扉はアコーディオンカーテンで鍵が内側からしか掛かりませんが、このエリアに入る扉がQRコードで解錠するオートロック式になっています。貴重品は持参するか、コインロッカー(100円返却式)を活用したほうが良さそうです。
    周りの音は、全く気にならなかったし、揺れもごくたまにある程度で、ほんの少ししか感じませんでした。テレビもあって、船内チャンネルでは航路と現在位置を表示してくれるものがありました。地デジ放送は映ったり映らなかったりしました。海上にいますからそこは仕方ないですね。ケータイの電波は部屋の中まで届きませんので、ロビーやレストランで使うようになります。WI-FIもありますが、つながりにくいようです。

    別府湾

    別府港を出港してしばらく経ったタイミングで甲板に出てみます。ちょうど日が落ちて、遠くに街の明かりが見えました。船が港から離れていく瞬間は、いつまでも見ていられる光景です。どんな人の心情にも寄り添えられるように感じます。
    お風呂に入ってから甲板に来ると最高です。風はずっと強いので、5分居たら十分涼めます。それ以上居たら寒いかも…
    お風呂はビジネスホテルにあるような規模の大浴場が男女別にあって、湯船からも海を眺めることができます。洗面台やロッカーも新しいので設備は申し分ないです。ただし、人が多いときに入ると、スペースがやや狭いので、入口にある混雑状況の表示を確認して入ったほうが良いかと思います。

    さて、レストランに行ってみましょう。体験してみて個人的には一番の感動ポイントでした。
    夕食と朝食がいずれもビュッフェスタイルで提供されるのが特徴です。今回は夕飯のみを利用しました。和洋中、肉、魚、麺…様々なジャンルをしっかり押さえたラインナップで、どれ食べてもおいしくて、もう素晴らしい。お刺身が特においしいと感じました。新鮮だし、厚みがあって満足感があります。欲張って三回お代わりしてしまって、お腹パンパンに。

    デザートにはアイスクリームやチョコレートフォンデュまであるので、楽しみが尽きません。飲み物もソフトドリンク飲み放題で、別料金ですが、お酒もあります。が、もう私はデザート手前で限界を迎えてしましました…残念です。
    料金は、大人2500円でした。正直額面だけ見ると高い金額だとは思いますが、このクオリティなら納得です。ごちそうさまです。
    座席は豊富にありますが、空いていれば窓側に陣取ると、朝は景色を見ながら優雅に食事を楽しめるでしょうね。

    さんふらわあ プロジェクションマッピング

    レストランを出ると、ロビーで船内を紹介するプロジェクションマッピングが行われていました。
    単なる移動手段だけでなく宿泊施設にもなっていて、乗ること自体に楽しんでもらおうとする気持ちが伝わってくる大変素敵な乗り物だと感じました。都市部のホテル料金並みの運賃で別府~大阪を移動できてしまうのは、本当にコスパが高いです。(※4月6日のプライベートシングルは¥14,540でした。)

    今日はさんふらわあに乗るミッションがあったので、ゆるゆる日程でしたが、3日目は早朝の大阪から怒涛の乗り継ぎラッシュが待っています。

    ~3日目に続く~